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唾液の役割について - vol.42 -

今回は唾液についてお話します。

「唾液(つば)」というと、汚いようなイメージをお持ちの方も多いようですが、実は私たちの健康になくてはならない大切な分泌物なのです。


唾液は、唾液腺 { 大唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)小唾液腺(口唇腺・頬腺・口蓋腺・臼歯腺・舌腺)}から口の中に分泌され、水・電解質・粘液そして多くの酵素からなる分泌物です。

成分の99,5%が水分であり、残りのおおよそ半分ずつが無機質・有機質などで占めています。

  唾液成分の割合
   ・水分    99,5%
   ・無機質   ナトリウム・カリウム・炭酸水素・無機リン・カルシウム
   ・有機質   アミラーゼ(酵素)・IgA (免疫物質)・ラクトフェリン(抗菌物質)
          リゾチーム・ラクトペルオキシターゼ(酵素・抗菌物質)・ムチン(タンパク質)


唾液の役割

【自浄作用】
唾液が絶えず口の中にあることによって、口の中をいつも清潔に保とうとする働きです。唾液には免疫細胞が含まれているため、歯・歯肉・粘膜を感染から守る作用もあります。
唾液の分泌量が少なくなってしまうと、歯周病・むし歯が発症しやすくなります。


【咀嚼・嚥下作用】
食事をすると唾液が食べ物と混ざることで、飲み込みやすくなります。


【消化作用】
唾液の中には消化酵素のアミラーゼが含まれており、糖質を分解し体内に取り込みやすいようにしています。


【再石灰化作用】
むし歯菌が出す酸によって歯のカルシウム等が溶け出しますが、唾液に含まれる成分が歯の表面から溶け出したカルシウム等を補い、修復する働きがあります。
砂糖類の摂取量が多いとむし歯菌の繁殖が著しくなるため、この作用の働きが極端に低下します。


【潤滑作用】
口の中は硬い歯や軟らかい粘膜が同居しています。硬さの異なる臓器がお互い傷つかないのは唾液が常に口の中を潤しているからです。そして食事ができたり、しゃべれるのも唾液で潤っているからなのです。


【防御作用】
抗菌作用を持った酵素が、外から侵入してくる細菌などを防ぎ生体を守る働きをしています。他にも体の多くの部位で生体防御機能が働き、生命を維持しているのです。



このように唾液にもいろいろ役割があることを知っていましたか?


1日で1~1,5リットルも分泌する唾液ですが、もし唾液がなくなったらどうなってしまうでしょう?

まず食事が困難になるでしょう。そして食事の際に食べ物に含まれる味物質「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「辛味」が唾液に溶け込み、味を感じ取る味覚受容器 { 舌の味蕾(みらい)}で「うま味」と感じていますので、唾液がないと味蕾まで味物質を運ぶ潤滑作用がなくなるばかりか、口腔内の乾燥で味蕾が摩擦により擦れて機能しなくなったりします。結果的に唾液がなくなると味覚障害に陥ってしまうでしょう。そして消化にも大きく影響するでしょう。

また唾液がない状態では、潤滑作用が失われるため口の中が乾燥し、しゃべることが困難になったり、粘膜にヒリヒリした痛みがでるでしょう。そして乾燥することにより、口臭にも悩まされるでしょう。


このように唾液の分泌は口の中の健康と深く関わっているのです。