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デンタルケア/ブラッシング(歯磨き)

歯垢(プラーク)と歯磨き

歯垢とは…

口の中には400種類以上の細菌が住んでいます。数にすると60億以上になります。
その中で歯垢を作り出しているのが、ミュータンスと呼ばれる細菌です。
この細菌は口の中に残った食べかすや糖質をエサに繁殖します。
繁殖した歯垢は歯の表面にしがみ付くように付着します。

歯磨きの重要性

歯磨きで最も大切なことは、「磨けている」ことです。

頑張って磨いていても、正しく磨けていなければ効果はありません。歯の表面に付着した歯垢(プラーク)を確実に磨けるテクニックを習得することが要になります。また、上手く歯垢を落とせるようになったら、今度は歯垢が溜まらないように磨きます。歯垢が溜まってからでは、歯磨きに時間も掛かりますし、磨き残しの原因にもつながります。

「磨いている」のではなく「磨けている」ことが大切なのです。

歯磨きの要領

歯垢を楽に、早く、確実に落とし、
しかも歯肉を傷つけない磨き方が理想です

歯垢は歯ブラシの毛先の弾力ではじき飛ばす要領で除去するのが効率的で、振動させてるだけではあまり効果はありません。毛先をある程度動かすことが必要です。また、適切な力加減が大切になります。
力加減が弱いと歯垢の除去効率はあがりませんし、強いと歯ブラシの毛先が開いてしまい除去効率が悪いばかりか、歯・歯肉・歯ブラシを痛めてしまいます。

掃除をするときに使うホウキを思い浮かべてください。ホウキを使う時は、ホウキの先の毛を走らせゴミを集めます。このとき力を入れすぎると、ゴミは集めにくく、ホウキを傷めます。繰り返し力を入れて使っていれば、短時間でホウキの毛が広がり、使い物にならなくなります。歯ブラシも同じことが言えます。1~2週間程度で毛先が開くようでは力が強過ぎると思ってください。

『歯ブラシの毛先を使って、
適切な力加減で歯垢を確実に落とす』ことが大切です

歯ブラシの毛先を使って磨く「毛先磨き」が基本になりますが、要領は歯ブラシのナイロン毛を歯面に直角に当ててこすります。しかし、歯は複雑な立体形ですので歯ブラシの向きを工夫しながら調整しなければなりません。最初は毛先を歯面に当てることができても、こすり始めると思うように動かせないことが多いので、繰り返し練習することが大切になります。
歯科衛生士に個々に合わせた適切な歯ブラシ指導を受けるのがよいと思います。

歯磨剤について

基本的に歯垢(プラーク)を除去するのには歯磨剤は必要ありません

歯垢を除去するのに基本的には歯磨剤は特に必要ありません。(歯磨剤自体の薬効効果はあまり望めません。)歯磨剤を使用する利点は、口の中がスッキリし清涼感が味わえることぐらいでしょう。

泡立つので歯が磨けたと思い込んでしまう

磨き残しによるむし歯・歯周病は、磨きにくい場所から発症する傾向が多いです。そのため、そんな場所は手鏡などを用いて的確に歯ブラシが汚れの溜まっている部分に届いているか確認したいのです。泡立てば磨き方が確認できません。そして泡立つとついつい磨けていると思い込んでしまうのです。

研磨剤が含まれている歯磨き粉を使用すると、歯が削れてしまう

毎日研磨剤が含まれている歯磨剤を用いて磨けば、少しずつですが歯は削られます。
歯磨きすると歯がしみるというのがその代表例 知覚過敏症です。歯磨剤によって知覚過敏症になった場合、歯磨剤の使用を中止すればほとんどの場合徐々に治ります。しかし、削れてしまった歯は元のように修復しません。

歯ブラシの毛が傷む

歯ブラシの毛のほとんどはナイロン毛でできています。歯磨剤の研磨剤によりナイロン毛が傷つき、表面が削れて白濁してきます。ふつうナイロン毛は透明ですが、傷ついて白濁したナイロン毛では歯垢を除去する能力は著しく低下します。

歯の表面が黒ずんでくる

歯磨剤を止めると、歯が黒ずんできます。これは歯の表面に茶渋などの色素が付着したために起こることで、害ではありません。見た目が気になるようであれば、その時点で歯磨剤を少し使って磨けばよいでしょう。

A、研磨剤の入った歯磨剤を使用

A、研磨剤の入った歯磨剤を使用

B、歯磨剤の使用を中止して1ヶ月

B、歯磨剤の使用を中止して1ヶ月

  • 研磨剤の入った歯磨剤を使用している場合(A)、使用を中止して1ヶ月(B)の歯の表面を観察してみると、歯の輝きの違いがお分かりいただけると思います。(矢印の歯参照) 
  • AとBを比較すると、歯の輝きが一目瞭然です。Aは研磨剤によって歯の表面が削られ、傷つき、本来の歯の輝きが失われています。
  • Bは研磨剤により削られた歯の傷が再石灰化により修復され、本来の輝きを取り戻しました。

どうしても歯磨剤を使わないと気持ちが悪いという方

  • 研磨剤の入っていない歯磨剤を使用するか、洗口剤を歯磨剤に見立てて使用する。
  • 研磨剤の入っている歯磨剤を使用する場合、先ず、歯ブラシを2本用意します。1本は歯磨剤をつけて使う歯ブラシ。もう1本は歯磨剤をつけない歯ブラシです。

歯磨剤を使う場合、清涼感だけを味わう目的で使うので、米粒大くらいで十分です。最初に歯磨剤をつけた歯ブラシで磨くと、研磨剤が口の中に残ってしまうので、最初は何もつけないで磨きます。磨き終わったら、歯ブラシを歯磨剤専用ブラシに変えて清涼感を味わう目的で歯磨剤を軽く付け磨くと良いでしょう。そうすることによって研磨剤の影響は全くとはいきませんが、何も知らないで使っているよりは悪影響は少なくなるでしょう。

歯磨きの重要性

歯磨きの基本

何でも基本が大切です。これは、歯科の分野においても同じことが言えます。歯科の基本はなんと言っても「歯磨き(ブラッシング)」でしょう。歯磨きで大切なのは「磨けていること」です。そして誰のためにするのか?何のためにするのか?しっかりとした目的で見直していただきたいものです。

口は内臓の入り口です。そして歯は食べ物を消化する最初の臓器です。健康を意識するなら、大切にすることと同時に常に手入れをして、可愛がっていただきたいと思います。

歯肉のマッサージ

「歯肉をマッサージするように磨きましょう」と聞いたことはありませんか?
歯肉の状態にもよりますが、私は直接的な効果は望めないように思います。なぜなら、歯垢(プラーク)は歯の表面に付着するため、ブラッシングは歯に限定して行なうことによって効果が現れるものだと思っているからです。

歯肉に炎症がある場合、マッサージを行なうと炎症を起こし弱っている歯肉が傷つき、かえってダメージを与えてしまう可能性のほうが多いように思います。よって先ずはマッサージ効果を期待するより、歯に付着した歯垢を除去することを歯磨きの基本と考えてもらえたらよいと思います。

歯磨き用具

歯ブラシ

さまざまな形・タイプのものが市販されていますが、お勧めはストレートハンドルで、ブラシ毛を真上から見たときに植毛が長方形状が望ましいです。そしてブラシ毛にある程度コシのあるものを選択されると良いでしょう。

歯ブラシ 写真1

歯ブラシ 写真 1

歯ブラシ 写真2

写真 2

歯ブラシ 写真3

写真 3

音波歯ブラシ

音波歯ブラシ 写真1

音波歯ブラシ 写真 1

リニア音波振動により、1分間に31000回もブラシがストロークし、短時間で効率的に歯垢(プラーク)を除去し、歯の表面をツルツルに仕上げます。

歯ブラシの形状が2種類あり、3タイプの振動モードでブラッシングができます。

歯間ブラシ

音波歯ブラシ 写真2

歯間ブラシ 写真 1

歯と歯の間を掃除するブラシです。
サイズは各種あるので状況に適したサイズを選択することが重要です。

歯間ブラシはただ通すのではなく、歯の際にそわせるように使うと更なる効果が期待できます。

歯肉の炎症が強かったり、サイズの選択が適切でなかったり、必要以上に使用し過ぎると歯肉を傷めることがあるので使用するにあたっては注意が必要です。

歯間ブラシ 使用方法 写真1

歯間ブラシ 使用方法 写真 1

歯間ブラシ 使用方法 写真2

写真 2

歯間ブラシ 使用方法 写真3

写真 3

インタースペースブラシ

歯と歯肉の際、歯と歯の境、最後方歯の周辺、歯並びが悪い部分などを磨くのに適しています。

インタースペースブラシ 写真1

インタースペースブラシ 写真 1

インタースペースブラシ 使用方法 写真1

使用方法 写真 1

インタースペースブラシ 使用方法 写真2

写真 2

デンタルフロス

歯と歯の重なった場所を磨くのに適しています。歯と歯の間にデンタルフロスをスライドさせながら挿入し、歯垢を除去します。形状は柄にフロスが付いたものタイプと糸状のタイプがあり、フロスの性状にはワックスの付いたものと付いてないものがあります。

デンタルフロス 写真1

デンタルフロス 写真 1

デンタルフロス 使用方法 写真1

使用方法 写真 1

デンタルフロス 使用方法 写真2

写真 2

歯ブラシ傷

歯磨きはむし歯 ・ 歯周病予防に欠かせないものですが、間違った歯磨き方法だと歯 ・ 歯肉を傷つけてしまいます。

症例 1

症例 1 写真1

症例 1 写真1

タバコのヤニによる着色が常に気になるため、毎日力まかせに歯磨きをしていたために、歯肉が必要以上に痩せてしまったようです。(歯肉退縮)

症例 2

症例 2 写真1

症例 2 写真 1

当医院で全顎にわたる治療を終えた患者さんです。

治療中は適切な歯磨き圧で磨いていましたが、定期健診になってから歯磨き圧がついつい強くなり、慢性的に歯肉が削られたような形態になっています。

症例 3

症例 3 写真1

症例 3 写真 1

治療に通われて間もない患者さんです。

歯間ブラシによる歯磨き指導を受け、とても気持ちがよかったため、必要以上に歯間ブラシをやり過ぎて歯と歯の間にブラシによる傷ができてしまいました。