舩坂歯科医院／マイクロスコープ高精度精密診療（自由診療専門歯科医院）船坂歯科医院・ふなさか

42歳　女性




「数年前に治療しセラミックを被せたのですがしっくりこないので再治療を受けました。その後もずっと違和感があり最近違和感が増してきているので心配です。」と他の歯を治療中に相談を受けました。



根管治療が不十分なため根尖部に透過像を認めます。




　






他歯の治療があるためこの歯の再治療は一時保留し、その後レントゲンを改めて撮影しました。
すると…　歯根中央部に根管とは異なる部位に根管充填剤（矢印　赤）が確認でき、根管充填剤に紛れてリーマーの破折片（矢印　黄）も認められます。
根管充填剤が歯根中央部で分岐し、延長上に透過像も認められるため穿孔が疑われます。

患者さん情報では、複数回根管治療を行ったそうですが、治療中にときどき耐え難い痛みがあり、力任せにグリグリ治療されとても辛い印象しか残っていないそうです。


患者さんから「先日先生に治療して頂いた歯は、他医院でさんざん再根管治療をしたにもかかわらず最終的に抜歯宣告を受けた歯でしたが、再植治療で驚くほど回復しました。この歯も正直いろいろ怪しいところがあると思いますのでお願いします。」と治療を希望されました。
感染根管治療で治療可能な部分もありますが、根管が反れている？穿孔の疑い？　が気になるため、再植法にて対応することにしました。








オールセラミック　スクリューポストを除去すると、根管充填剤の中にリーマーの破折片が見つかりました。（矢印）
また唇側から口蓋側にかなり幅が広く根管充填剤（GP）が詰められている様子が確認できます。







再植に先立ちExtrusionを行います。







順調に挺出してきました。








抜歯窩の唇側部中央　穿孔に相当する箇所に骨吸収が認められました。（囲い）




　






歯根の唇側中央部に根管充填剤（GP）が確認できます。









根尖部の炎症性組織を除去すると、汚れが確認できます。
（抜去歯固定器具は当医院オリジナル特注治具　　株式会社ジーアクトさん製作）









根管内のGPの間にリーマーの破折片が確認できます。（矢印　黄）









穿孔部のGPを除去しながら探ると、唇側中央から根管外に突き出ます。









穿孔部のGPを一部除去しましたが、リーマー片は歯質に埋入しているようです。


　








慎重に歯質を削合しリーマー片を除去しました。


　 　
　 　












穿孔部から突出したGPを除去していくと、歯根内に入っていたGPと歯根外に出ていたGPの色の違いがわかります。








穿孔した部位を洗浄しますが、かなり広い穿孔です。


　






根管口から見ると本来の根管は矢印　青です。
穿孔した個所は矢印　赤です。








本来の根管





穿孔部


　


　







根管治療　根管充填　穿孔部の封鎖　デブライドメントを行いました。








再植直後








1ヶ月後








2ヶ月後







4ヶ月後
ビルドアップ　テンポラリー装着
歯槽硬線が明瞭になってきました。








8ヶ月後
歯槽硬線が明瞭になりました。








1年2ヶ月後
最終補綴物を装着しました。