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重症歯周病の処置

症例 3 - vol.53 -

74歳 女性



「ずっと歯医者さん通いしていますが、満足した状態になりません。最近入れ歯も作り変えましたが、噛みにくいわ、しゃべりづらいわで、電話で相手にうまく伝えられないのが一番辛くて…。息子が私の状態を知って先生の医院を探してくれたのですが、何とかいい状態になりませんか?」と切実な思いで来院されました。






「抜歯しなければならない歯もありますが、しっかり治療すれば入れ歯なしで過ごせるようになりますよ。」とお伝えしたところ、できればイメージが悪い入れ歯と怖そうなインプラントだけは避けたいので、それ以外の治療なら進めて下さいと了承が得られたため、全顎治療をすることなった患者さんです。








特に問題が山積みな部位です。









犬歯と最後臼歯は根尖まで骨吸収を認め、周囲からかなりの排膿が認められました。
また第2小臼歯は根の1/2以上の骨吸収 第1大臼歯は近心頬側根から分岐部にかけて骨吸収 近心頬側根内にはリーマー・ファイルの破折片が認められます。








保存が困難と思われる犬歯、最後臼歯を抜歯し、第1大臼歯は近心頬側根を抜根しました。
第2小臼歯はExtrusionを行うことにしました。
(当医院オリジナルの治療用の仮歯を仮着中)









Extrusion途中(1ヶ月後)
順調に挺出してきました。
(当医院オリジナルの治療用の仮歯の金属部分に細工をし、一時矯正装置として使用しました。)








1ヶ月半後 この時点で固定します。








固定1ヶ月後
近心部と根尖部の骨は回復傾向にあります。








固定3ヶ月後
近心部と根尖部の骨は緻密化してきました。
遠心部も徐々に回復してきています。
固定を外し周囲の連結プロビジョナルに組み込みます。








組み込んでから5ヶ月後
遠心部の骨がわずかながら回復していますが、少し排膿が認められます。








Extrusionで回復傾向にありましたが、遠心中央部に透過像があります。
患者さんと相談し、更なる改善を期待して再植治療することにしました。








再植直前 


 








歯根遠心部中央部の表面にセメント質の添加が認められました。








逆根管充填を行ない、根管口を一時的に封鎖
歯根膜を温存し、セメント質の添加を除去し根面を滑沢にしました。









再植直後








3週間後
遠心部の歯槽硬線が認められるまでになりました。








2ヶ月後
周囲の歯槽硬線が明瞭になりました。









3ヶ月後
ファイバーポストにてビルドアップを行いました。








10ヶ月後
補綴物装着
初診時には歯周ポケットも深くかなりの骨欠損でしたが、歯周ポケットも骨レベルも回復しました。










患者さんの希望通り 入れ歯とインプラントをしないで何とかまとめました。








再植1年1ヶ月後  最終補綴物装着3ヶ月後
良好です。








再植1年7ヶ月後  最終補綴物装着9ヶ月後









2年3ヶ月後








3年3ヶ月後









4年4ヶ月後
経過良好です。