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破折歯の接着再植法

症例 14 - vol.78 -

55歳 男性



「30年以上前に治療を行いずっと何ともなかったのですが、3年前に顎の下の部分がかなり腫れ、根管治療を何度か繰り返したら治りました。しかし3ヶ月前から頬っぺた側の歯肉が腫れ始め、何も症状はないのですが奥の方で悪くなっているため腫れているのだと思います。何が原因で腫れているのか診察して下さい。」と紹介で来院されました。



日常生活に支障はなく咬合痛もないようですが、歯肉を押すと痛みがあるようです。
近心根周囲から分岐部にかけて透過像が確認できます。透過像の様子から歯根破折が疑われます。


ブラッシング指導後1ヶ月、歯肉の腫れは治まり何ら問題はないためこのまま様子を見るか? 積極的に治療を行うか? 迷われていたようですが、奥さんから違った口臭(以前被せ物の中が腐っていてとても悪臭がしたときと同様の臭い)が気になると言われたことで治療を行うことになりました。
厳しい状況でもできるだけ保存したいと強く希望されたため、歯根分割 外部接着再植法にて対応することにしました。








近心根を分割抜歯すると、歯根は真っ二つでした。
破折内面は思っていたほど汚染されていませんが、破折線に沿って根尖周囲まで歯根膜組織は消失しています。


 

 







破折面をきれいにし、接着修復 逆根管充填 デブライドメントを行いました。
根尖孔は2ヵ所あり、逆根管充填を行いました。(矢印)








再植直後
遠心根にテンポラリーを装着し固定しました。








1ヶ月後








2ヶ月後
不透過像が縮小してきました。








3ヶ月半後
固定用wireとテンポラリーが脱離し来院  近心根がわずかに近心に移動しているようです。
根尖周囲の骨がかなり回復してきましたが、分岐部の骨が低い骨頂に徐々に平坦化してきました。








6ヶ月後
ビルドアップ テンポラリーを装着して1ヶ月後








1年2ヶ月後
最終補綴物装着
遠心根の再治療は望まれなかったため、現状のまま補綴(連結冠)を装着しました。