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破折歯の接着再植法

症例 6 - vol.32 -

55歳 女性



「大学病院を始め数件の歯科医院で診察を受けましたが、どこに行っても歯根破折を起こしているので、抜歯を勧められました。最後に相談した○○先生が、こちらを紹介してくださったので受診しました。なるべくなら抜きたくありません。少しでも温存できるようであればお願いできませんか?」と切実な訴えで来院されました。




下顎の最後臼歯が近遠心的に破折しています。








近遠心的に破折しているためレントゲン写真で破折線は確認できませんが、破折の影響で近心部の骨が少し溶けているのが確認できます。
また遠心部に歯に近接した硬組織様の不透過像が確認できますが、この時点で何かはわかりません。(矢印)

TCH(歯列接触癖)の習癖があるため、治療法の条件・手順・リスクなどの話合いをした上で、破折歯の外部接着再植法を試みることにしました。







安全に抜歯を行うためと歯根膜組織の伸長・増殖を目的にExtrusionを行いました。








順調に挺出しました。
矢印で示した硬組織様不透過像はどうやら歯槽骨とは分離しているようです。









抜歯してみると、歯根破折がはっきりわかります。またその周囲には歯根膜組織が炎症により消失し、多くの肉芽組織も認められます。








破折線に沿って慎重に分離しました。
内面はかなり汚れています。








内面をきれいにし、周囲の不良肉芽も除去しました。










SBにて接着修復しました。







定位置に再植し、隣在歯に固定しました。
矢印の硬組織様不透過像の正体は、昔に抜歯した親知らずの破片でした。除去したため再植後のレントゲン写真には写っていません。








2ヶ月後
周囲の骨が回復してきています。







3ヶ月半後
歯槽硬線が明瞭になり、根尖周囲の透過像は消失しました。近心骨も良い状態で回復してきました。








ビルドアップ テンポラリー装着 1ヶ月後
益々周囲の骨が緻密化してきました。








テンポラリー装着 2ヶ月後
問題なさそうです。








テンポラリー装着 4ヶ月後
根尖周囲の歯槽硬線が明瞭になり、近心の骨も更に緻密になってきました。








外部接着再植 11ヶ月後
MCrを合着しました。
骨は緻密になり非常に良い状態に回復し、歯槽硬線も明瞭です。
良い状態が維持できるように今後も見守りたいと思います。








MCrセット 1ヶ月半後








外部接着再植 2年10ヶ月後
順調です。