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破折歯の接着再植法

症例 5 - vol.23 -

64歳 女性



「最近腫れぼったくて頬っぺた側を手で押さえるとおおぼったく、噛むと違和感がある。」と来院されました。
延長ブリッジが装着されています。
遠心側の補綴物が脱離し、根周囲を探るとカリエスと破折を疑う引っかかりが認められました。



レントゲンでは破折は確認できませんが、近心歯根中央部の骨が溶けている透過像が認められます。(実際には近遠心的な破折が認められました)
歯根上部がカリエスにより脆弱な状態で状況的に厳しい歯根ですが、少しでも自分の歯を長く残したいという患者さんの強い希望で外部接着再植法にて温存することにしました。(カリエスの状況から厳しい状況ですので、うまく処置できるかわからないことと経過もどうなるか予測がつかないことを十分患者さんに理解・承知して頂いた上で治療を開始しました)







歯質の上部は黒く着色し、カリエスも広範囲にあります。







破折している周囲の歯根膜組織はありません。







分離してみるとやはり歯質は見た目以上に脆そうです。

 






根管内の軟化しているカリエスは極限まで切削し、健全な歯質を可能な限り残し、SB&コア材にて破折接着修復+補強+再建しました。
破折していた周囲以外の歯根膜組織は思っていた以上に健全な状態で残っていました。







再植直後
頬側の骨の吸収が思った以上に進んでいたことと、定位置に戻すと手前の歯根と近接しているため将来的な清掃環境に課題が残るため、90度回転させて再植しました。

1週間後の消毒に来院されたときにはすでに頬っぺた側から触れてもおおぼったさがなくなったと報告を受けました。







3ヶ月後
固定用ワイヤーがなくてもビックリするほど動揺がありません。
骨の回復とともに歯槽硬線が明瞭になってきました。









コアのビルドアップをしてテンポラリーを装着しました。








テンポラリーを装着して1ヶ月 
歯槽硬線が更に明瞭になり、骨も緻密化しています。 
患者さん曰く とても調子良く噛め、問題ないようです。








テンポラリーを装着して2ヶ月 








テンポラリーを装着して3ヶ月 








テンポラリーを装着して4ヶ月









8ヶ月後
最終補綴物装着

生体の治癒力には驚かされます。








2年9ヶ月後
順調です。