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難しい再根管治療

症例 13 - vol.77 -

51歳 女性



「2~3年前に神経ギリギリのところで温存治療をし、その後も何度も痛みがあったため通院しましたが最終的に抜髄しました。抜髄後もずっと調子が悪かったのですが補綴物を装着しました。3ヶ月前に歯をコンコンたたくと響くので抜髄をしてもらった歯科医院を受診すると、問題ないと言われました。それから1ヶ月後に頬側におできが出現したため再受診すると、根の治療が問題と言われ原因の歯根の再根管治療を行いました。つい最近受診したときは歯周ポケットが8 mmで歯周病が原因なので治らないと言われました。説明が2点3点と変わり納得も信用もできず、このまま今の歯科医院に通っていても治ることはないと思い…」知人の紹介で来院されました。




当医院に来院されたときにはサイナストラクトは認められませんでした。
近心頬側根~分岐部にかけて炎症に伴う骨吸収(透過像)が確認できます。(囲い)
歯周ポケットは全周2~3 mmと正常なためエンド由来と思われます。








根管内診査
原因根(近心頬側根)に貼薬した様子はなく、根管内は膿で充満していました。その膿を吸い取っても根管内にまたじわじわ溜まる状態です。








近心頬側根の口蓋側よりに第4根(矢印 赤)が存在しているようです。また根管から分岐部にかけてクラックが認められます。(矢印 黄)

感染根管治療で治癒する可能性はおおいにありますが、分岐部に認められるクラックと分岐部にまで及ぶ透過像 前医への不信感 そして顎関節症による開口制限などを考慮し、患者さんと相談の上、確実に処置を行うために意図的再植法にて対応することにしました。







再植に先立ちExtrusionを行います。









順調に挺出してきました。


 








近心頬側根根尖周囲に炎症性組織が確認できます。









近心頬側根の分岐部周囲にまで炎症性組織が存在します。










炎症性組織を除去します。
(抜去歯固定器具は当医院オリジナル特注治具  株式会社ジーアクトさん製作)









主の近心頬側根(矢印 黄)の口蓋側よりに第4根(矢印 赤)が存在しているようです。








根管充填剤を除去し、クラックを削合していきます。
幸いにも分岐部のクラックは浅く外側までは達していませんでした。








第4根(矢印)に根管充填剤が入り込んでいます。









第4根を超音波で探ると…








根管が見つかりました。







ファイルが穿通しました。








近心頬側根は2根存在します。







近心頬側根(2根)を根管形成しました


 







根管治療 根管充填 デブライドメントを行いました。








原因根の術後







再植直後







1ヶ月後







2ヶ月後
透過像が縮小してきました。







3ヶ月後
さらに透過像が縮小してきました。







6ヶ月後
ビルドアップ テンポラリーを装着し、遠心部の歯間空隙が狭く清掃性を考慮し最後臼歯を遠心移動しました。







10ヶ月後
最終補綴物を装着しました。
近心頬側根~分岐部に存在した透過像は完全に消失しました。







1年10ヶ月後
骨が更に緻密化してきました。