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難しい再根管治療

症例 6 - vol.54 -

49歳 男性



「治療済の歯ですが、頬側の歯肉が時々腫れ数日経つと治まる状態をずっと繰り返しています。炎症をおこしていると思うのですが治りますか?」と他の歯の治療が一段落した時に相談を受けました。




頬側近心部にサイナストラクト(旧名 フィステル)が認められました。
3根の根尖を取り囲むように根尖病巣が確認でき、遠心歯槽骨にも透過像が認められます。口蓋根根尖の形態がはっきりしないため歯根吸収を起こしているかもしれません。
隣在歯とほとんど隙間がないため衛生環境が悪く、隣在歯のインレー下にむし歯が存在します。

患者さんは他の歯を意図的再植法で温存できた経験から、この歯も慢性炎症が長期に渡り続けているため、より確実な治療を希望し意図的再植法にて治療することを望まれました。








隣在歯のインレー下のむし歯治療を行いながら再植を行うことにしたため、隣在歯を仮歯に替え、歯間が近接しているため再植に先立ちやや遠心にExtrusionしました。








抜歯窩には多くの炎症性組織(不良肉芽)が存在していますが、掻爬します。




 





頬側2根の根尖周囲の歯根膜組織が消失しています。
口蓋根の根尖は少し歯根吸収し窪んでいます。




 





頬側2根は根尖が完全に閉鎖していたため、歯根端切除し根管を探りました。
口蓋根は歯根吸収した部分をカットし、修復しました。
再根管治療 根管充填 頬側~遠心欠損歯質の再建補強 デブライドメントを行いました。







再植直後
清掃性を考慮し、隣在歯と少し離して固定しました。







1ヶ月後







2ヶ月後







3ヶ月後(ビルドアップ&テンポラリー装着 1ヶ月後)
根尖周囲の透過像が薄くなってきました。







4ヶ月後
骨が回復し、歯槽硬線が確認できます。







8ヶ月後
MCr(単冠)を2ヶ月仮着し、問題がないため合着しました。