トップページ > 救済治療・再生療法 > 難しい再根管治療 … > vol.36 症例 2 …


難しい再根管治療

症例 2 - vol.36 -

46歳 女性




最後臼歯のブリッジが脱離しています。






ブリッジを除去すると二次カリエスと部分破折が確認できます。 
舌側の歯質は歯肉縁下にあります。

破折片の除去、根管治療、根尖からはみ出た根充剤(オーバー根充)の除去を同時に治療するため再植を行うことにしました。






抜歯窩を観察すると根尖から押し出された根充剤が大量に存在します。
本来根管充填は神経を除去した根管内をしっかり塞ぐために行いますが、過剰過ぎては逆効果になります。しっかり根管を密閉するために最近では垂直加圧根管充填法がありますが、根尖が開いている症例にはこのように大量の根充剤があふれ出て、歯槽骨にまで食い込んでしまうリスクもあります。
この充填剤の上部は一塊で除去できたのですが、下部の除去はとても苦労しました。骨の隙間に充填剤が食い込み、骨を削り取らなければ除去できない細かなところは断念しましたが、可能な限り除去しました。







抜歯した歯の根尖を観察すると、はみ出た根充剤の一部が根尖周囲に付着し、余剰な根充剤の影響で根尖周囲の歯根膜は大きなダメージを受けています。
「根充剤は本来生体に無害なものを使い、はみ出た根充剤は経時的には吸収されるので大丈夫です。」と謳っている先生もいらっしゃいますが、すべての症例で根充剤が吸収されるのではなく、このように根充剤によって組織が吸収してしまうことがあることも理解して頂きたいものです。







歯根膜の再生を期待して歯根端切除は行なわず、根充剤の除去・逆根管充填を行いました。







充填剤硬化後、研磨して再植しました。
再植直後のレントゲン写真







2週間後
痛みもなく順調に経過しています。







1ヶ月半後
2週間前にコアのビルドアップと仮歯を装着し、順調に経過しています。
歯槽硬線が明瞭になり、根尖周囲の骨も落ち着いてきているようです。







10ヶ月後
歯槽硬線は更に明瞭になり、骨も緻密化しました。







補綴物装着